1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:18:04.20 ID:s13u/B4L0


-教室-


ガヴ「……」


まち子「……あ、居た居た」


ガヴ「……」


まち子「天真さーん。この前の職場体験の感想プリントを……」スタスタ




まち子「……あら?」




ガヴ「……」パラ…




まち子「……」


まち子(……珍しい。あの天真さんが本を読んでるなんて)






2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:19:17.51 ID:s13u/B4L0


まち子「っと、そうじゃなくて……」



まち子「天真さん」

ガヴ「……ん? いんちょー?」

まち子「委員長ね。職場体験のプリント、まだ出してなかったでしょう?」

ガヴ「そんなのあったっけ」

まち子「あったわよ! ほら、今日までに提出って言われてた……」

ガヴ「あー、あのクソめんどそうなやつ?」

まち子「面倒って……」

ガヴ「えーっと」ガサガサ


ガヴ「あった。これだな」スッ

まち子「ありがとう……って白紙!?」



3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:20:00.47 ID:s13u/B4L0


ガヴ「うん。『感想無し』って事でよろしくー」

まち子「い、いや、せめて何かひと言くらい書いて貰えないと……!」

ガヴ「えー……じゃあ」



ガヴ「『クソめんどかったです。二度とやりたくありません。滅びろ』」カリカリ



ガヴ「これでいい?」

まち子「良い訳あるかーー!!!」




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:20:47.68 ID:s13u/B4L0


まち子「もー、真面目に書いてよ! 天真さんのプリントを集めるまで、私帰れないのよ!」

ガヴ「いいじゃん。それなら、このまま放課後デートと洒落込みましょうや」

まち子「こんなときめかない放課後デート初めてよ……」

ガヴ「したことあるの?」

まち子「え? いや、ないけど」



ガヴ「……そっか」フッ

まち子「なんでそんな憐れむような目を!?」



5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:21:28.91 ID:s13u/B4L0


ガヴ「いや、委員長も大変だなーって」

まち子「余計なお世話よ! というか、そう思うなら早く書いてよ!」

ガヴ「はいはい。これ読み終わったらねー」パラ…

まち子「いやだから先にこっちを……!」

ガヴ「まーまー、落ち着いて……せっかちな人はモテませんよ?」

まち子「……」ピクピク

まち子(もうやだ……委員長やめたい)



ガヴ「……」パラ…



まち子「……」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:22:15.92 ID:s13u/B4L0


まち子「……そういえば」

ガヴ「ん?」

まち子「天真さんはそれ、何の本を読んでるの?」

ガヴ「あー、えっと……」



ガヴ「恋愛小説かな」

まち子「え、恋愛小説!?」



ガヴ「うん。しかも百合もの」

まち子「ゆ、百合もの!!?」



ガヴ「ヴィーネが面白いって薦めてきたから、借りて読んでるんだよ」

まち子「え? ……ああ、なるほど。天真さんのじゃないのね」



7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:22:53.87 ID:s13u/B4L0


ガヴ「当たり前だろ。私が恋愛小説なんか持ってそうに見えるか?」

まち子「いやまあ、確かに見えないけど……」

まち子(自分で言うんだ)



ガヴ「……」パラ…

まち子「それで、その本は面白いの?」

ガヴ「んー……まあ面白いんだけど」

まち子「けど?」

ガヴ「所々エッチなシーンがあるんだよね」

まち子「エッ……!?」

まち子(ま、まさか官能小説みたいな……!?)



8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:23:31.64 ID:s13u/B4L0


まち子「そ、それってどういう?」

ガヴ「そうだな、例えば……」

まち子「……」ドキドキ



ガヴ「キスシーンとか」

まち子「……」



まち子「え、キス?」

ガヴ「うん」



9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:24:16.09 ID:s13u/B4L0


まち子「……他には?」

ガヴ「えーっと、ハグとか」

まち子「ハグ……それだけ?」

ガヴ「うん。まあ、それくらいかな」

まち子「なんだ、その程度か……」ホッ

ガヴ「……」

まち子(びっくりした……てっきりもっと凄い描写があるのかと……)



10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:25:01.11 ID:s13u/B4L0


まち子「……」

まち子(ま、まあでも恋愛小説なら、キスシーンくらいあってもおかしくないわよね)

まち子(それにしても、キスシーンがエッチなシーンだなんて、天真さんって結構ウブなんじゃ……)

ガヴ「ねぇ、委員長」

まち子「なに?」





ガヴ「『そ の 程 度』?」ニヤッ

まち子「」





ガヴ「今、その程度って言ったよね?」ニヤニヤ

まち子(ぼ、墓穴掘ったぁぁああああ!!!)




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:25:51.75 ID:s13u/B4L0


ガヴ「キスシーンがその程度って、委員長は一体どんなエッチなシーンを想像してたんですかねー?」ニヤニヤ

まち子「ち、違うの! 今のはちょっと口が滑って……」カァァ

ガヴ「へー、口が滑ったんだ?」ニヤニヤ

まち子「あっ! いや、えっと……!」アセアセ

まち子(まずい、喋れば喋るほどボロが……!)

ガヴ「それで? 何を想像したの?」

まち子「い、言える訳ないでしょそんなの!」カァァ

ガヴ「なるほど、言えないような想像をしちゃったと」

まち子「だから違っ……!」カァァ

ガヴ「いやー、委員長はムッツリですなー」ニヤニヤ

まち子「ムッツリ言うなーー!!!」カァァ



12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:26:30.67 ID:s13u/B4L0





ガヴ「……しかし、委員長がそういう事に詳しかったなんて意外だな」

まち子「うぅ……」カァァ

まち子(恥ずかしい……死にたい……)

ガヴ「やっぱり、そういう経験もあったりするの?」

まち子「えっ? ……そ、そういう経験って?」ビクッ

ガヴ「キスとか、あっちの事とか」

まち子「なっ!? ないないない!! ある訳ないでしょ!」カァァ

ガヴ「ふーん、無いんだ」

まち子「無いわよ!」



13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:27:14.31 ID:s13u/B4L0


ガヴ「そっか。じゃあ委員長は耳年増なのかー」

まち子「耳年増って……大体、天真さんだってそういう経験ないでしょう?」

ガヴ「あるよ?」

まち子「え?」



ガヴ「……」

まち子「……え? 嘘でしょ?」

ガヴ「嘘じゃないけど」



まち子「……」

ガヴ「……」



まち子「……な」




まち子「なんでやねん……」ズーン

ガヴ「いや、動揺し過ぎだろ」





14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:27:50.37 ID:s13u/B4L0


まち子「まさかクラスメートの性事情がそこまで進んでたなんて……」ズーン

ガヴ「あー、違う違う。 そっちの経験じゃなくて、キスの方」

まち子「えっ?」

ガヴ「流石にあっちはまだだよ。相手も居ないし……」

まち子「あ、そうなんだ……良かった……」ホッ

ガヴ「やっぱり委員長ってムッツリなんだな」

まち子「だから誤解だって!」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:28:52.42 ID:s13u/B4L0


まち子「……っていうか、天真さん、キスした事あるの?」

ガヴ「まあ、何回か」

ガヴ(同性だけどな)

まち子「そ、そうなんだ……どんな感じなの?」

ガヴ「どうって言われてもなー……こう、幸せな感じ?」

まち子「幸せ……」

ガヴ「あとは柔らかいとか、ちょっと息苦しいとか……」

まち子「柔らかい……」

ガヴ「うーん、上手く言えないな……まあ、実際にしてみるのが一番早いとは思う」

まち子「……」ドキドキ



16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:29:32.40 ID:s13u/B4L0


ガヴ「もしかして委員長、興味あるの?」

まち子「えっ!? い、いや、そんなことは……」

ガヴ「……」ジーッ

まち子「……」



まち子「……ない、訳じゃないけど」ボソッ

ガヴ「ふーん?」ニヤニヤ

まち子「うぅ……」カァァ

ガヴ「やっぱり委員長も女の子なんですなー」ニヤニヤ

まち子「い、いいでしょ別に!」カァァ

ガヴ「……」



17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:30:35.92 ID:s13u/B4L0



ガヴ「それじゃあさ、委員長」

まち子「な、何?」

ガヴ「私としてみる?」

まち子「……え、何を?」

ガヴ「キス」

まち子「……」

ガヴ「……」



まち子「……あの、天真さん」

ガヴ「うん」




まち子「天真さんって、もしかしてそういう趣味なの……?」

ガヴ「いや違うから」





18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:31:24.09 ID:s13u/B4L0


まち子「だって、いきなりキスしようだなんて……」

ガヴ「あー、うん。ごめん。確かに今のは私の言い方が悪かった」

ガヴ「えっとほら、恋人同士のキスじゃなくて、友達同士でする挨拶みたいなキスの話だよ」

ガヴ「外国人がよくやってるやつ」

まち子「な、なるほど……?」


まち子「いやでも、やっぱりキスなんて恥ずかしいし……」

ガヴ「別にキスって言ったって、口にする必要はないんだぞ? ほっぺにチューでもキスはキスだ」

まち子「ほっぺにチュー……」

ガヴ「それくらいなら、委員長でも出来るんじゃない?」

まち子「まあ確かに、それくらいなら……」




19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:32:19.94 ID:s13u/B4L0


まち子「……って、なんでキスする前提で話が進んでるのよ」

ガヴ「だって委員長が『興味ある』って言ったんじゃん」

まち子「あれ!? 私の所為!?」



ガヴ「で、どうするの? やるの? やらないの?」

まち子「いや、えっと……」

ガヴ「女同士だし、そんなに気を張る必要ないと思うけどなー」

まち子「天真さんは気にしなさ過ぎなのよ!」

ガヴ「まーまー、1回くらいなら平気だって」

まち子「そんな薬物を勧める人みたいな……」

ガヴ「いいからいいから。興味あるんでしょ?」

まち子「……」




20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:33:00.54 ID:s13u/B4L0


まち子「……じゃ、じゃあ、1回だけ」

ガヴ「オッケー。かもん」

まち子「あ、でも!」

ガヴ「ん?」



まち子「その、やり方が合ってるか不安だから、先に天真さんにお手本を……」

ガヴ「……えー……委員長、流石にそれはヘタレ過ぎじゃない? ほっぺにチューするだけだぞ?」

まち子「し、仕方ないじゃない! こういうの初めてなんだもの……」

ガヴ「……はぁ。しょうがないなー」



ガヴ「そのままジッとしててよ」スッ

まち子「えっ!? ちょ、心の準備が……!」ビクッ



21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:33:37.54 ID:s13u/B4L0



ガヴ「だからそんなの要らないって……」

まち子「待っ……!」



チュッ



まち子「~~~っ!」プルプル

ガヴ「はい、おしまい」

まち子「……」



まち子「……え、もう終わり?」

ガヴ「うん」



22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:34:32.04 ID:s13u/B4L0


まち子「……」

ガヴ「ね、大した事なかったでしょ?」

まち子「……う、うん」

ガヴ「キスしようって考えるから緊張するんだよ。軽く触れるつもりでやれば大丈夫」

まち子「……」

ガヴ「ほら、次は委員長の番だぞ。頑張れ」

まち子「わ、分かったわ」



まち子「……」スッ

ガヴ「そーそー。力抜いてー」

まち子「……」




23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:36:33.04 ID:s13u/B4L0


まち子(……天真さんって、近くで見ると案外綺麗な顔してるのね)

まち子(まつ毛も長いし、羨ましい……)

まち子「……!」ハッ

ガヴ「……」

まち子(ダメダメ! 余計な事を考えちゃ!)



まち子「……」

まち子(軽く触れるだけ、軽く触れるだけ……よしっ)

まち子「……」ズイッ

ガヴ「……」



24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:37:03.74 ID:s13u/B4L0




ガヴ「……」クルッ

まち子「えっ?」




チュムッ




まち子「……」

ガヴ「……」







まち子「~~~~~っ!!?!?」ボッ

ガヴ「油断したな」ニヤッ






25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:38:28.51 ID:s13u/B4L0



まち子「なっ、えっ、てんまさ……!!?」カァァ

ガヴ「いやー、悪いねー。こうでもしないと、委員長は口にはさせてくれないだろうからさ」

まち子「な、なんで、こんな……」カァァ

ガヴ「んー? それはほら、ほっぺにチューだけじゃキスの経験なんて言えないし……」

ガヴ「ま、あとは私がしたかったってだけかな」

まち子「……」シュゥゥ

ガヴ「それで、どうでしたか? 初めてのキスのお味は」

まち子「わ、分からないわよそんなの……!」カァァ

ガヴ「ふーん……そっか」




ガヴ「じゃあもっかいしてみる?」

まち子「するかーーー!!!!」カァァ





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:40:19.24 ID:s13u/B4L0



-廊下-



まち子「……まったく、ひどい目にあったわ」スタスタ


まち子(流されたとはいえ、まさか私のファーストキスの相手が天真さんになるなんて……)


まち子「……」スタスタ


まち子(それに結局、あれからプリントを書いて貰うのにさらに30分くらいかかっちゃったし……)


まち子(あーもう、なんでうちのクラスにはこんなに問題のある人が多いのよ!)


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:41:43.34 ID:s13u/B4L0




まち子「……」スタスタ


まち子(……そう言えば)


まち子(天真さん、私とキスしたかったって言ってたような気がしたけど、あれはどういう意味なのかしら)


まち子(やっぱり、天真さんってそういう趣味があるんじゃ……)


まち子「……」スタスタ


まち子(……それとも)


まち子(もしかして、天真さんは私の事が……)


まち子「……」




まち子「……」ブンブン


まち子(いやいや、ないない。考え過ぎよ)



28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:42:30.04 ID:s13u/B4L0


まち子(多分、天真さんは誰にでもそういう事をする人なのよ。うん、きっとそう)


まち子(だからさっきのキスはそういう意味じゃない……はず)


まち子「……」



まち子(……)



まち子(……それにしても)



まち子「……」



まち子(天真さんの唇、柔らかかったな……)





29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:43:41.94 ID:s13u/B4L0



まち子「……」



まち子「……」カァァ





まち子「さ、さあ急がないと。 これ以上遅くなったら先生に怒られちゃうわよ」スタスタ


-おしまい-


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/24(水) 23:44:35.10 ID:s13u/B4L0


~おまけ~



「あ、ガヴ! 遅かったじゃない。どこに行ってたのよ」



「え? 教室で委員長と話してた?」



「……ああ、なるほど。あのプリントまだ出してなかったのね。だから早めにやっておきなさいって言ってたのに……」



「……でも、それならなんでそんなに顔が真っ赤なの?」



「……何でもない? 本当?」



「……」



「……まあいいわ。サターニャとラフィが待ってるし、早く行きましょう」



「……え、何?」



「……」



「ふふっ。どういたしまして」



「それが気に入ったなら、今度また別の本を貸してあげるわ」





「----おすすめの、恋愛小説をね」




-おしまい-


ガヴ「Kiss me」  まち子「Kiss you?」
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