1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:27:33.058 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「忘れ物とは、私としたことがうっかりしてしまいましたね」

ラフィエル(ガヴちゃん達と帰宅した後)

ラフィエル(復習予定のノートの忘れ物に気づいて、神足通を使って)

ラフィエル(クラスの階、女子トイレに移動する)

ラフィエル「……ふぅ」

ラフィエル「この時間だと、部活の生徒くらいでしょうか」

ラフィエル(沈みつつある夕暮れを、窓からのぞく)

ラフィエル(下界でも美しいと思える景色は)

ラフィエル(最近では珍しく、晴れた空ゆえに絵画として残しても良い美しさがあった)

ラフィエル「ふふっ」

ラフィエル(下界にきて最初のころは)

ラフィエル(退屈さを感じてばかりでしたが)

ラフィエル(サターニャさんと出会って、ヴィーネさん達と出会って)

ラフィエル(気づけば、賑やかな毎日で)

ラフィエル(むしろ、静かな時間に希少価値がついてしまって……悪いとは言いませんが)


6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:31:05.730 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「ここですね――?」

ラフィエル(二年生になって、早数日)

ラフィエル(通いなれたとまではいかない2-Aの教室にたどり着くと)

ラフィエル(教室には、一人分の影が伸びていた)

ラフィエル「あれは確か……」

ラフィエル「委員長さん?」

委員長「!」

ラフィエル(ただ声をかけただけなのに)

ラフィエル(委員長さんはガタッっと机を揺らすほどに驚いて、振り返る)


8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:33:37.982 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「どうかしましたか?」

委員長「あ、えっと……白羽、さん? ううん、平気」

委員長「ぼーっとしてたから、驚いちゃっただけ」

ラフィエル「そう、ですか」

ラフィエル(とはいえ、一年生の時に委員長さんは何度もご覧になっていましたが)

ラフィエル(無意味に気を抜くような方には……)

ラフィエル「……帰られないんですか?」

委員長「え? あ、ああ。うん。帰る」

ラフィエル(慌てたように席を立った委員長さんは)

ラフィエル(机の上に置いた鞄をそのままに、席を離れていく)

ラフィエル(悪魔が憑りついている様子はありませんが……心配ですね)


11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:36:26.806 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「委員長さん、待ってくださ~い!」

委員長「?」

ラフィエル(追いかけて、委員長さんの鞄を見せると)

ラフィエル(逡巡ののちに、思い出したように鞄を受け取って)

ラフィエル(有難う。と、答えて歩いていく)

ラフィエル「待ってください」

委員長「まだなにか?」

ラフィエル「せっかくですから、ご一緒しませんか?」

委員長「ご一緒?」

ラフィエル「はい。ヴィーネさんおすすめの喫茶店があるんです」

委員長「私は――ううん。せっかくだから、行こうかな」


13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:39:58.129 ID:I3mpwOmL0

……喫茶店


ラフィエル「ここでガヴちゃんがアルバイトしているんですよ」

委員長「天真さんが……」

委員長「そう……なのね」

ラフィエル「……………」

ラフィエル(ガヴちゃんが働いてる姿を見せようかなーと、思っていましたが)

ラフィエル(これはむしろいなくて正解。でしょうか)

ラフィエル「すみません、ブレンドコーヒーを二つ」

委員長「あっ、私は」

ラフィエル「奢りです。誘ったのは私ですから」

ラフィエル(申し訳なさそうな委員長さんの言葉を遮って)

ラフィエル(ちらっと、マスターさんへと目を向ける)

ラフィエル(なんとなく、委員長さんを見ていられなかったから)

ラフィエル(誘っておいて……逃げる気ですか。私は)


16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:41:56.734 ID:I3mpwOmL0

マスター「お待たせしました」

マスター「こちら、ブレンドコーヒー。二つになります」

ラフィエル「有難うございます」

ラフィエル(出てきたブレンドコーヒーに、砂糖多め、ミルク多めで甘く仕上げて、飲む)

ラフィエル(マスターさんに失礼ですが、とりあえず注文してしまったブレンドコーヒーは、私にはまだ大人の味です)

委員長「……いただきます」

委員長「………美味しい」

ラフィエル(砂糖も何もなく、コーヒーを一口飲んだ委員長さんは)

ラフィエル(そのあとまた一口含んで、ふっと息を吐く)

ラフィエル「凄いですね、委員長さん」

委員長「え?」

ラフィエル「私にはまだ、そのまま飲むことは出来なくて」

委員長「ああ……全然。凄くはないわ」

委員長「本当、全然……凄くない」

ラフィエル(コーヒーを飲めるのを褒めただけなのに……)

ラフィエル(まさかの地雷ですか!?)


17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:47:26.621 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「悩み事がありましたら」

ラフィエル「お伺いしますよ」

ラフィエル(そう問いかけると、委員長さんは首を横に振って)

委員長「白羽さんには、話せない」

ラフィエル「私には、ですか?」

委員長「……胡桃沢さん達のことだから」

ラフィエル「なら、尚更。伺います」

ラフィエル(私がそう言うと)

ラフィエル(委員長さんは驚いたように目を見開いて)

ラフィエル「私達の事。ですから」

ラフィエル(委員長さんは私達のことで悩んでいるのだと、思った)

ラフィエル(2年生になって、委員長を決める話になった時)

ラフィエル(最初は手を上げようとしていなかったのを知っています)

ラフィエル(だから……)


19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:53:10.225 ID:I3mpwOmL0

委員長「上手く、纏める自信がないの」

委員長「委員長として……胡桃沢さん達が悪いわけじゃ。でも……」

ラフィエル「すみません……迷惑をかけてしまって」

委員長「ううん、白羽さんが謝る事じゃないから」

ラフィエル(いえ、サターニャさんを焚きつけてるのは私ですから)

ラフィエル(などと、言えるはずもなく……というより、多少は知っていると思うのですが)

ラフィエル「力不足ではないか。委員長さんはそう悩んでいるんですね」

委員長「胡桃沢さんが立候補して……だれもしなくて。だから。そんな適当な理由だったのがいけないんだと思う」

委員長「今までのように、やるべき事さえ。上手く出来ないような気がして」

ラフィエル(自分で言うのもあれですが)

ラフィエル(私達は特殊ですからね~……委員長さんは上手くまとめていると思いますが)


21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 22:57:35.006 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル「…………」

ラフィエル「……委員長さん。見てください」

ラフィエル(ふと、気分を入れ替えようと目を向けた窓の外は暗く)

ラフィエル(空にはいくつもの星が輝いていて)

ラフィエル(その瞬間、ひらめいた言葉を口にする)

委員長「?」

ラフィエル「見てください。満天の星を」

ラフィエル「あの空が、委員長さんです」

委員長「私?」

ラフィエル(怪訝な顔つきの委員長さんに)

ラフィエル(私はそうですよ。と、笑みを向ける)

ラフィエル「星の一つ一つは、個性的で。大小様々に輝いています」

ラフィエル「でも、空はそれをまとめ上げています。個性的な光をそのままに。しかし、美しい星空として作り上げている」

ラフィエル「つまり、ですね。委員長さんという空は、私達という星を上手く纏めて、教室という星空を作り上げているんです」


22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 23:00:33.696 ID:I3mpwOmL0

委員長「そうかしら?」

委員長「私にはとてもそんな――」

ラフィエル「隣の芝生はいつも、青く見えるものです」

委員長「………………」

ラフィエル(自信の喪失)

ラフィエル(それは、いつかとてつもないものに変貌してしまう)

ラフィエル(それに、本当に委員長さんは頑張っているから)

ラフィエル(だからこそ、笑みを浮かべたまま声をかける)

ラフィエル(優しく、穏やかに。今は冷めてしまったブレンドコーヒー。その出来立てのような温もりをもって)

委員長「本当に、上手く出来てる?」

ラフィエル「はい」

委員長「これからも、やっていける?」

ラフィエル「はい」

委員長「本当に?」

ラフィエル「はい。本当です」

委員長「……そ、っか」


24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 23:08:21.998 ID:I3mpwOmL0

ラフィエル(委員長さんは冷めたコーヒーを飲むと)

ラフィエル(さっきまではなかった笑みを浮かべて)

委員長「……ありがとう。白羽さん。頑張ってみるわ」

ラフィエル「いえ」

ラフィエル「いつもご迷惑をおかけしてしまっているのはこちらですから」

ラフィエル「委員長さんが何かあれば、いつでもご相談に乗りますよ」

ラフィエル(二人ともコーヒーを飲み終えて)

ラフィエル(最終下校時刻なんてとっくに過ぎ去った時間)

ラフィエル(まだ少し冷える夜道を歩く)


25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 23:15:08.381 ID:I3mpwOmL0

委員長「白羽さん」

ラフィエル「はい?」

委員長「また、相談なしでも……お茶。行かない?」

ラフィエル(少し前を歩き、振り返った委員長さんは)

ラフィエル(夕方とは全く違う、明るい笑みを携えていて)

ラフィエル「そうですね、都合があったら。ぜひ」

ラフィエル(それ以外の答えは見当たらなかった)

ラフィエル(委員長さんとの時間は、ガヴちゃん達といる時と違って大人しい)

ラフィエル(けれど、決して退屈ではなく――好ましい、時間だったから)

ラフィエル(そんなことを考えながら空を見上げると)

ラフィエル(殆ど一瞬、きらりと光る星が流れていく)

ラフィエル「……あっ、流れ星」

委員長「え?」

ラフィエル(遅れて委員長さんが顔を上げても)

ラフィエル(当然、流れ星は見えなくなっていた)


27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 23:20:26.159 ID:I3mpwOmL0

委員長「残念」

委員長「見られたら、何かお願いできたのに」

ラフィエル「叶うとは限りませんよ?」

委員長「こういうのは雰囲気が大切なのよ。白羽さん」

ラフィエル「ふふっ、確かにそうですね」

ラフィエル(あの星空が教室なら、いまの流れ星はきっと……)

ラフィエル(私達が教室にもたらすであろう変化。ですね)

ラフィエル「あぁ……これからが楽しみです」

ラフィエル(歓喜に震える声は、夜のとばりの中に、とけていく)

委員長「白羽さんって、お転婆なイメージがあったけど」

委員長「そんなことはないのね」

ラフィエル「ふふふっ、そうでもないですよ~?」

ラフィエル「見たいですか~?」

ラフィエル(冗談っぽく言うと、委員長さんは困ったように笑って)

委員長「今日はおとなしい白羽さんでお願い」

ラフィエル(そんなことを言う)

ラフィエル「そうしますね~」

ラフィエル(だから私そう答えて)

ラフィエル(少しだけ、委員長さんとの距離を詰めた)


28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/11(土) 23:23:42.282 ID:I3mpwOmL0

完!
保守閲覧thx


たまにはこの二人も良いと思ったんだ
百合なし短しですまんね


ラフィエル「見てください。満天の星を」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1489238853/