1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:07:21.285 ID:lrpf5que0

 
-ヴィーネの家-



 ぎゅぅ

タプリス「えへへ……月乃瀬先輩……」スリスリ

ヴィーネ「……」


 ぎゅぅぅ

タプリス「先輩……せんぱぁい……」スリスリ

ヴィーネ「……」



ヴィーネ(……どうして)


ヴィーネ(どうしてこうなった)


2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:10:02.744 ID:lrpf5que0

 
- 一時間前 ヴィーネの家 -


タプリス「はぁ、やっと終わりましたぁ」

ヴィーネ「お疲れ様、タプちゃん。はいこれ、お茶」

タプリス「あ、ありがとうございます、月乃瀬先輩!」


タプリス「先輩が丁寧に教えてくれたおかげで」

タプリス「次のテストも、なんとかなりそうです」

ヴィーネ「ううん。タプちゃんが自分で頑張ったのよ。きっと良い点数も取れるわ」

タプリス「あはは、だと良いんですけどね」


タプリス「あ、でも、なんか。頭を使いすぎたせいでしょうか」

タプリス「少し頭痛がしてきました」

ヴィーネ「あら、大変。頭痛薬、出してあげる」

タプリス「そ、そんな、お気遣いなく!」

ヴィーネ「いいからいいから、って、あれ……ない」ゴソゴソ

ヴィーネ「あ……先週使い切って、買い足すのを忘れてた」

タプリス「本当に大丈夫ですから! お気持ちだけで十分です」

ヴィーネ「痛みがあるって言ってるのに、放ってなんておけないわ」


ヴィーネ「……そうだ、あれを試してみましょう」

タプリス「あれ?」


4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:11:57.438 ID:lrpf5que0

 
 ボキッ ゴリゴリゴリッ


タプリス「つ、月乃瀬先輩!? いったい何を!?」

ヴィーネ「ああ、これ? 私の角を粉末にしているのよ」

タプリス「そ、そんなことして大丈夫なんですか!? 痛みとかは!?」

ヴィーネ「大丈夫大丈夫。痛みはないし、一晩ですぐに生えてくるから」

タプリス「で、でも、一体なぜそんなことを?」

ヴィーネ「私の角にはね、粉末にして飲むと、頭痛を抑える効能があるのよ」

タプリス「えっ、本当ですか? それはすごいです……」

ヴィーネ「まあ悪魔の角を飲むなんて、いい気分はしないでしょうけど」

ヴィーネ「市販の頭痛薬より、ずっと胃に優しいから、おすすめなの」

タプリス「優しさ半分ところじゃないですね……」

タプリス「先輩の優しさが100%ですから、よく効きそうです」


タプリス「でもどうして、市販薬も家に置いていたんですか?」

ヴィーネ「私自身はもう、子供の頃に飲みすぎてしまって」

ヴィーネ「ほとんど効かなくなってしまったのよ」

タプリス「そうですか……それは残念ですね」


ヴィーネ「さて、できたっと。これをお茶に混ぜて飲んでみて」

タプリス「は、はい。いただきます」

 コクコクコクッ
 


6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:14:26.384 ID:lrpf5que0

 
タプリス(綺麗にお茶に溶けて、特に味の変化などもないですね)

タプリス(飲み心地も良いなんて、さすが月乃瀬先輩です)


タプリス「あ、あれ。頭痛がだんだんなくなって……」

ヴィーネ「さっそく効いてきたみたいね」

タプリス「すごい、まだ数分しか経ってないのに。即効性もあるだなんて」

タプリス「ありがとうございます、月乃瀬先輩!」

ヴィーネ「楽になったみたいで、本当に良かった」ニコッ


タプリス「……ッ」トゥンク

ヴィーネ「タプちゃん? どうしたの?」


9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:16:33.615 ID:lrpf5que0

 
タプリス「えっ、い、いえ! な、何でもないです!」

ヴィーネ「そ、そう?」


タプリス(な、なんでしょう、これ……)

タプリス(先輩の笑顔を見たら、急に胸が苦しく……)

タプリス(つ、月乃瀬先輩の笑顔は、とても可愛らしいと思いますけど)

タプリス(今まで、こんな気持ちになったことは……、一度も)


タプリス(それになんだか、月乃瀬先輩から目が離せません……)

タプリス「……ッ」

ヴィーネ「タプちゃん?」

タプリス「本当に何でもないですから! お気になさらずっ」

ヴィーネ「だ、大丈夫? あ、まさか、まだ頭痛が残っているんじゃ」

タプリス「え? あ……そ、そうかもしれませんね」

ヴィーネ「粉末の量が足りなかったのかも。もう少し飲んでみましょうか」

タプリス「は、はい、いただきます……」

 コクコクコクッ
 


15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:19:53.650 ID:lrpf5que0

 
タプリス(だ、だめです。気持ちが抑えられません……)

タプリス(月乃瀬先輩の、もっと近くにいって、そして……)

タプリス(ふ、触れて、みたい……)

タプリス(って、わたしは何を考えているんですか!?)

ヴィーネ「どう? 少しは良くなったかしら」ズイッ

タプリス「あっ、だめ、だめです先輩っ、近づかないでください!」

ヴィーネ「えっ、どうして? ただ熱を測ろうとしただけよ?」

タプリス「な、なんかっ……わたし、変なんです!!」

ヴィーネ「ふふっ、おかしなタプちゃん。別に何も変じゃないわよ?」

ヴィーネ「ほら、少しだけおでこ、触らせてね」

 ぴとっ

タプリス「あっ、あぁっ……」

タプリス(せ、先輩の手が、わたしのおでこにっ……)

タプリス(だめ、もう、我慢が……)


17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:23:54.190 ID:lrpf5que0

 
 ぎゅっ

ヴィーネ「タ、タプちゃん? 私の手を握ったりして、何を……」

タプリス「はぁっ……はぁ……」

タプリス(先輩の、手……ああ、すべすべしていて、気持ちいいです……)

タプリス「はっ!?」

 パッ

タプリス「ご、ごめんなさい! 先輩!」

ヴィーネ「う、ううん。大丈夫だけど、いったいどうしたの?」

ヴィーネ「それに、顔も真っ赤にして。あ、やっぱり熱が……」

タプリス「ほ、本当にごめんなさい! わたし、そろそろ失礼します!」

ヴィーネ「だ、だめよ!」

タプリス「えっ?」

ヴィーネ「こんなに具合悪そうなタプちゃんを、そのまま帰せないわ」

ヴィーネ「ほら、ベッドに横になりましょう?」

タプリス「ご、ご心配いただけるのはうれしいですけど……」

タプリス「わたし、やっぱりいつもと違って、変で……」

ヴィーネ「熱があるときなんて、たいてい誰でも変になるわよ」

タプリス「で、でしたら……せめて、わたしを縛ってください!」


18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:26:38.656 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ「え? し、縛る?」

タプリス「動けなくしないと、わたし、先輩に何をするか……」

ヴィーネ「ふふっ、なにそれ。今の流行りか何か?」

タプリス「ち、違います! わたし、本気で!」

ヴィーネ「そうだ。実は私の角、解熱効果も少しあるのよ」

ヴィーネ「ちょっと待っててね」

ヴィーネ「……そうだ。どうせだし、限界まで作り置きしておきましょう」

 ゴリゴリゴリッ

ヴィーネ「よし、できたっと、残りは瓶にしまって……」

ヴィーネ「タプちゃん、はい。少し多めに白湯に混ぜたから、ゆっくり飲んでね」

タプリス「は、はい。いただきます……」


 コクコクコクコクッ


――――――

――――

――


 ぎゅぅ

タプリス「えへへ……月乃瀬先輩ぃ……」スリスリ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(こうして、今に至る、わけだけど……)


ヴィーネ(抱きつきたくなる……症状なんて、聞いたことないわ)

ヴィーネ(も、もしかして、私の角のせいかしら……)


19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:32:22.947 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ(でも、こんな副作用、今まで起きたことなんて……)

ヴィーネ(悪魔じゃないと、こうなってしまうとか?)


 ぎゅぅぅ

ヴィーネ「ひゃぅ! タ、タプちゃん? どうしたの?」

タプリス「あ、あの……わたしを無理やり、離してください……」

ヴィーネ「えっ?」

タプリス「ごめんなさい、どうしても、離れることができなくて……」

タプリス「こんなの、気持ち悪いですよね……」

ヴィーネ「う、ううん! 少し驚いただけで、そんなことないから」

タプリス「……お優しい先輩を、苦しめたくないんです」

タプリス「お願いです、先輩。正直に言ってください……」

タプリス「わたし、こうしてちゃ……、だ、だめですよね?」ポロポロ

ヴィーネ「……ッッ」カァァ


ヴィーネ(なっ!? ななっ……か、かわいいっ。かわいすぎるっ)

ヴィーネ(こんなにドキドキするの、久しぶりかも……)

タプリス「ごめっ……ぐすっ……ごめんなさい……」

ヴィーネ「な、泣かないで、タプちゃん。離したりなんかしないし」

ヴィーネ「このままでも全然、構わないわ」

タプリス「ほ、本当ですか?」

ヴィーネ「ええ」


22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:35:45.582 ID:lrpf5que0

 
タプリス「う、嬉しいです、月乃瀬先輩……」スリスリ

ヴィーネ「……」ナデナデ

ヴィーネ(たまにはこうやって、タプちゃんを愛でたって大丈夫よね)

ヴィーネ(そ、そう。先輩と後輩のスキンシップよ、スキンシップ)


――

ヴィーネ(もう何時間経ったかな……おなかもちょっと空いてきたかも)

ヴィーネ「タプちゃん、そろそろごはんを作りたいから、一度離れてもいい?」

タプリス「あっ……」

ヴィーネ「ダメかな?」

タプリス「……ぐすっ」ポロポロ

ヴィーネ「あー、うそうそっ! ごめんね! 泣かないで!」

ヴィーネ「離れないから、うん! このままでいるからね!」

タプリス「……」ギュゥ

ヴィーネ(か、かわいすぎだけど、これは困ったわね……)


24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:38:40.680 ID:lrpf5que0

 
-ヴィーネの家 キッチン-


ヴィーネ(なんとか、ここまでやってきたけど……)

タプリス「……」ギュゥ

ヴィーネ(しがみついてるタプちゃんはかわいい)

ヴィーネ(でも、少し動きづらい……かな)


ヴィーネ(それにしても……)

ヴィーネ(キッチンで調理中に、後ろから抱きつかれるのって)

ヴィーネ(ちょっとドキドキする)


――

ヴィーネ「じゃあ、いただきます」

タプリス「……」ギュゥ

ヴィーネ「タプちゃん。手を離さないと、食べられないわよ」

タプリス「……」フルフル

ヴィーネ(次は駄々っ子モードなのかしら。かわいいけど)

ヴィーネ「ふふっ。もう、しょうがないわね。ほら、あーん」

タプリス「……」パクッ

ヴィーネ「おいしい?」

タプリス「……」コクコク

ヴィーネ「よかった、たくさん食べてね」


26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:41:39.085 ID:lrpf5que0

 
タプリス「……」ウトウト

ヴィーネ「たくさん食べたら、眠くなってきちゃった?」

タプリス「……」コクコク

ヴィーネ「じゃあ少し横になりましょうか、私も一緒について行くからね」


 ぎゅぅぅ

タプリス「……」スリスリ

ヴィーネ「ふふっ、タプちゃん、くすぐったい」ナデナデ

ヴィーネ(きっと……幼い妹がいたら、こんな風なのかしらね)


ヴィーネ(思えば……こうやって抱き合って、誰かのぬくもりを感じるのなんて)

ヴィーネ(いつぶりかしら。私が小さかったころ以来?)

ヴィーネ(それになんだろう、すごく安心する)

ヴィーネ(別にホームシックってわけじゃないけど)

ヴィーネ(ちょっとお母さんに会いたくなっちゃった)


27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:44:37.240 ID:lrpf5que0

 
タプリス「すぅ……すぅ……」

ヴィーネ「タプちゃん、寝ちゃった……みたいね」

ヴィーネ(さてと、じゃあ私は、買い物にでも行こうかな)

ヴィーネ(よく眠っているし、大丈夫よね)

 バタンッ


――

タプリス「……ん」

タプリス「あれ、月乃瀬先輩……?」

タプリス「先輩? ど、どこですか? 先輩?」

 ガバッ

タプリス「いや……、どこ? どこにいったんですか?」

 タッタッタッ

タプリス「家のどこにもいない……そんな……」

タプリス「やだよぉ…………」ポロポロ


タプリス「いやぁっ、わたしを一人に、一人にしないで……」

タプリス「……」

タプリス「……行かないと」

タプリス「先輩のところに行かないと……」


 ゴトンッ

タプリス「この瓶は……」


28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:47:48.133 ID:lrpf5que0

 
 ガチャ

ヴィーネ「ただいまー」

ヴィーネ(タプちゃんはまだ寝てるかな……)

ヴィーネ「って、ベッドにいない……トイレとかかな」


ヴィーネ「い、家のどこにもいない……まさか」

ヴィーネ「私を探しに外へ? ど、どうしよう……あんな状態で?」

ヴィーネ「と、とりあえず、みんなに連絡を……」



-数時間後 ガヴリールの家-


ヴィーネ「タ、タプちゃんがここに来たって本当!?」

ガヴリール「……ああ、さっきここに来たぞ」

ヴィーネ「それで、その後、どこに行ったか知らない?」

ガヴリール「……そこまでは知らない」

ヴィーネ「そ、そう。ありがとう、それじゃ私は――」

ガヴリール「……それよりも」

 ガシッ ドンッ

ヴィーネ「え? ガ、ガヴ?」

ガヴリール「なぁヴィーネ、スケベしようや……」


30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:51:23.555 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ「は、はぁ!? ガヴ、なに言って!?」

ガヴリール「お前が、この部屋に入ってきた時点で」

ガヴリール「もうずっと我慢できなかったんだよ」グッ

ヴィーネ「な、ななっ!? ちょ、服脱がせようとしないでっ!」

ガヴリール「だって、そんな姿して……絶対、私のこと誘ってるじゃないか」

ヴィーネ「そんな姿ってなに!? いつもと変わらないんだけど!」

ガヴリール「いいだろ? ヴィーネ……」

ヴィーネ「だ、だめっ、だめぇぇぇっ!!」



-舞天市 水道局-

 シュンッ


ラフィエル「……タプちゃん、本当に良いのですね?」

タプリス「はい、これで、みんなが幸せになれますから」

ラフィエル「そうですかそうですかぁ」

ラフィエル「……それでは、その瓶をこちらに」

タプリス「どうぞ」


 ザバァッ

ラフィエル「崇高なるヴィーネ様のために」

タプリス「ヴィーネ様のために」


31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:53:54.128 ID:lrpf5que0

 
-ヴィーネの家-


ヴィーネ(とりあえず、ガヴは縛り上げてきたけど……)

ヴィーネ(って、やっぱり。私の角の粉末が入った瓶がなくなってる)

ヴィーネ(タプちゃんが持っていったの……よね)

ヴィーネ(どうしてそんなことを……)

ヴィーネ(ラフィとサターニャは連絡がつかないし)

ヴィーネ(と、とにかく、タプちゃんを探しに行かないと)



-住宅街-


 タッタッタッ

ヴィーネ(タ、タプちゃん、いったいどこに……)

 ドンッ

女の子「きゃっ」

ヴィーネ「あ、ごめんなさい! だ、大丈夫? 怪我はない?」

女の子「……」

ヴィーネ「いけない、打ちどころが悪かったのかしら……」

女の子「……」ギュゥ

ヴィーネ「えっ?」

女の子「……」スリスリ

ヴィーネ「な、なに……ど、どうしたの?」


32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:57:00.505 ID:lrpf5que0

 
 ドドドドドッ

ヴィーネ「えっ、なんでこんなに人が、集まって……」


街の人A「おお、あのお方は……」

街の人B「も、もう我慢できない……」


ヴィーネ「な、何か様子が……おかしいわ」

女の子「おねーさん」スリスリ

ヴィーネ「え? な、なに?」

女の子「……すけべ、しようや」

ヴィーネ「ひっ!!」

 ドンッ

女の子「いたっ」

ヴィーネ「ごめんね! でも、私を逃がしてっ!!」


33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 21:59:32.718 ID:lrpf5que0

 
 タッタッタッ

ヴィーネ「ま、まさか……まさかみんな……」

ヴィーネ「私の角の粉末を、飲んでしまったの?」

ヴィーネ「でも、こんな短時間にどうやって……」


ラフィエル「いました、みなさん! ヴィーネ様です!」


 ドドドドドドッ

ヴィーネ「ラ、ラフィ!?」

ヴィーネ(あ、あの子も粉末を飲んじゃったの!?)

ヴィーネ(じゃあ、この拡散はラフィの仕業よね、きっと……)

ヴィーネ(な、なんてことを……)


35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:02:30.756 ID:lrpf5que0

 
-工事現場-


 ドドドドドッ

 『ヴィーネ様! ヴィーネ様! ヴィーネ様!』

 『ヴィーネ様! ヴィーネ様! ヴィーラ様!』

 『ヴィーネ様! ヴィーネ様! ヴィーネ様!』


ヴィーネ「に、逃げ場が……もう……」

タプリス「もう観念してください、月乃瀬先輩」

ヴィーネ「タ、タプちゃん!? ど、どうしてこんなことを!」

タプリス「どうしてって、決まっているじゃないですか」

タプリス「わたし、先輩をぎゅぅってして……とても幸せでした」

タプリス「だからそれを、他のみんなにも教えてあげたかったんです」

ヴィーネ「そ、そんな……」


 ジリッ ジリジリッ

ヴィーネ(一般の人に、怪我をさせるわけにはいかない)

ヴィーネ(でも、タプちゃんにだけなら、大歓迎だけど……)

ヴィーネ(こんな見ず知らずの人たちに、抱き締められるなんて絶対に嫌!)


タプリス「さぁ、みなさん。抱き締めちゃってください!」


 『『『ヴィーネ様ぁ!!!』』』

 ガバァッ


ヴィーネ(た、助けて、誰かっ! お母さんっ!)


36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:05:31.368 ID:lrpf5que0

 
――――――

――――

――

ヴィーネ母「ヴィネット、よく聞きなさい」

幼ヴィーネ「なーに?」

ヴィーネ母「もし、私たちの角を相手に飲ませる時はね」

ヴィーネ母「必ず左右の角を均等に混ぜるのよ」

幼ヴィーネ「どーして?」

ヴィーネ母「そうしないとね、体に悪い成分が中和されなくて」

ヴィーネ母「飲んだ人を苦しめちゃうことがあるの」

幼ヴィーネ「んー、よくわかんない」

ヴィーネ母「ふふっ、まだ、ヴィネットには早かったかもしれないわね」

ヴィーネ母「でもこれだけは覚えておいてね」

ヴィーネ母「左右の角を均等に、よ。わかった?」

幼ヴィーネ「うん、わかった!」

――

――――

――――――
 


37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:08:45.966 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ(そ、そうだ! 思い出した!!)


 ボキィッ ゴリゴリゴリッ

ヴィーネ「はぁぁぁぁっ!! マッハゴリゴリィ!!」

タプリス「つ、月乃瀬先輩!? 角を折って、何を……」


ヴィーネ「よし、できた! いくわよ、せーのっ!!」

 ブンッ サラサラァ

タプリス「なっ!? ゴホッ、ゴホッ! 目くらましのつもりですか!」

ヴィーネ「違うわっ! みんな! これで正気に戻りなさい!!」

 ブンッ サラサラァ

 『ヴィーネ様ぁ……って、あれ?』

 『ヴィーネ……ん? どうしてこんなところに……』

 『わ、私いったい何を……』


タプリス「みなさんが元に戻っていく、どうして……」

ヴィーネ「タプちゃんには粉末を……たくさん飲ませてしまったわね」

ヴィーネ「本当にごめんなさい、これであなたも……」

 スッ

タプリス「あぐっ……」

 バタンッ

ヴィーネ「元通りだから」


38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:11:35.077 ID:lrpf5que0

 
-数日後 ヴィーネの家-


ヴィーネ(私の角粉ばら撒き事件のあと)

ヴィーネ(ラフィにはもう一度、水道局に飛んでもらい、逆の角の粉を水に混ぜて)

ヴィーネ(街中の人たちの中和は、ほぼ完了)

ヴィーネ(元はと言えば、私がお母さんの言いつけを守らなかったせいなので)

ヴィーネ(自業自得、といったところかしら)


タプリス「月乃瀬先輩、本当にごめんなさい!」

ヴィーネ「もう、そんなに謝らなくてもいいのよ。元は私が悪いんだし」


ヴィーネ(タプちゃんはあれから毎日、家に来て、私に謝り続けている)

ヴィーネ(……あれだけの量を飲んだのに)

ヴィーネ(ちょっと甘えん坊になる、くらいで済んでいるということは)

ヴィーネ(よほど、元が良い子なんだっていうのが、よくわかるわね)

ヴィーネ(欲望丸出しで襲ってきた、誰かさんとは違って……)


タプリス「ですけど、わたしがやってしまったことは事実ですし……」

ヴィーネ(あぁ……、どうしてくれよう、この良い子すぎる天使ちゃんは)


40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:14:34.402 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ「ねぇ、タプちゃん」

タプリス「は、はい」

ヴィーネ「その……粉末を飲んで、私に抱きついてた時のこと、覚えてる?」

タプリス「き、記憶ははっきりとあります……」

ヴィーネ「正直……どうだったかしら?」

タプリス「い、今思うと恥ずかしいですけど、全然、嫌とかじゃなくて!」

タプリス「むしろ……その、心地よかったなぁって、思います」

タプリス「そ、それは今も変わらないです!」


ヴィーネ「私もね、あの時のタプちゃんの抱き心地が忘れられないというか」

ヴィーネ「いろいろ疲れちゃって、ぬくもり恋しいときがあるのよ」

ヴィーネ「だから、タプちゃんが良かったら、なんだけど」

ヴィーネ「たまに……その、ああしてもいいかしら」

タプリス「あの……えっと……」

ヴィーネ「も、もちろん、嫌だったら断ってくれていいの」

タプリス「い、いえ! だ、大丈夫ですっ、むしろ、その……」

タプリス「わたしからも、お願いしたいといいますか……」


41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:17:53.913 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ「そ、そっか。じゃあさ……」

ヴィーネ「ちょうど今、少し疲れちゃってて、だから……」

タプリス「あ、はい。わ、わかりましたっ」

タプリス「では……し、失礼しますね」

 ぎゅぅ

ヴィーネ「……」

タプリス「……」

ヴィーネ(はぁ、この抱き心地、やっぱり癒やされるわね……)

タプリス「ど、どうですか?」

ヴィーネ「うん。体中の疲れが、抜けていく感じ……」

タプリス「そ、それなら、よかったです……」


 バタンッ

ヴィーネ「……」ビクッ

 サッ

サターニャ「ヴィネット! 聞いたわよ! って……」

サターニャ「なに、二人で正座してるの」

ヴィーネ「ちょっと! いきなり入ってこないでよ、サターニャ!」

サターニャ「はぁ? あんたが呼んだんでしょうが」


42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:20:31.378 ID:lrpf5que0

 
サターニャ「角にそんな効果があるなんて、知らなかったわ」

ヴィーネ「え、そうなの?」

サターニャ「ええ」

ヴィーネ「へぇ、知る悪魔ぞ知る、なのかしら」

ヴィーネ(それにあの時、サターニャは普通だったって言うし)

ヴィーネ(悪魔には、耐性があることもわかったわね)

サターニャ「ふふっ。にしても、良いことを聞いたわ」

ヴィーネ「ちょっとサターニャ、あまり変なことするんじゃないわよ」

サターニャ「わかってるわよ。それじゃあ、私は急用ができたから!」



 バタンッ

ヴィーネ「もう……台風みたいな子ね……」

タプリス「……」


43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:23:34.908 ID:lrpf5que0

 
ヴィーネ「タプちゃん?」

タプリス「へっ、な、なんですか、月乃瀬先輩?」

ヴィーネ「どうしたの? ぼーっとして」

タプリス「いえっ、その……えっと……」カァァ

ヴィーネ「も、もしかして……さっきの……」

ヴィーネ「中断しちゃって、寂しかったとか?」

タプリス「……」コクッ

ヴィーネ「か……かわいいっ!!」


 ぎゅぅぅ

タプリス「せ、先輩……?」

ヴィーネ「今日は時間の許す限り、ずっと抱きしめてあげるからっ」

タプリス「えへへ、望むところです」

ヴィーネ「ぎゅぅぅぅっ」

タプリス「あははっ、せんぱいっ、苦しいですよぉ」

タプリス「じゃあ、わたしも……ぎゅぅぅぅっ」

ヴィーネ「あはははっ」


44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:26:43.881 ID:lrpf5que0

 
-数日後 サターニャの家-


サターニャ「できたわ、私の角の粉末を仕込んだメロンパン」

サターニャ「これを天使どもに食べさせれば……」

サターニャ「私の下僕として、一生こき使うことができる!」

サターニャ「くくっ、なーはっはっはっ!」



-ガヴリールの家-


ガヴリール「お前がおみやげを持ってくるなんて、珍しいな」

タプリス「大量のメロンパンですね」

サターニャ「ちょっと、たくさん貰いすぎてしまってね」

サターニャ「まぁ敵に塩を送るってやつよ」

ガヴリール「腐ってないだろうな」

タプリス「怪しいです……」

サターニャ「失礼ね! 産地直送の出来立てよ!」

サターニャ「ほら、私が先に食べてあげるわ!」モグモグ


ガヴリール「まぁ、大丈夫そうだな。じゃあ、もらうぞ」

タプリス「い、いただきます」


サターニャ(くっくっくっ、食べてるわね。作戦大成功だわ!)


47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/04(木) 22:29:32.774 ID:lrpf5que0

 
-数時間後 ガヴリールの家-


ガヴリール「おらぁ! 進め進め!」

 ビシッ パカパカ

サターニャ「も、もう許して!」

サターニャ(な、何よこれ! は、話と違うじゃない!)


タプリス「わたしの馬になりなさいっ! ですぅ!」


 ビシッ ビシッ

サターニャ「ど、どうして、私の角だけ……」



ガヴリール「ひぃやっはぁぁぁぁぁっっ!!!」

タプリス「あははははははははっ!!!」



サターニャ「こんな、ドSになるのよぉぉぉぉっ!!」



おしまい


ガヴリール「千咲ちゃん、月乃瀬先輩の角を粉末にして飲まされる」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1493899641/